太平洋戦争)その6開戦〕その5

この戦争の継続の戦費ですが、無計画な拡大路線を裏付けるように、急速に膨張しております。予算は一般会計予算と臨時軍事費に分かれていますが、1940年度には、夫々62億円と54億円だったものが1945年に至っては、夫々、290億円と850億円となっており、ロジタンの失敗から物資の不足が生じ、急速に戦時インフレが起こっている様子や、この戦争遂行に当たっての杜撰な態度が読み取れるものです。天皇は神或いはそれに近いお方ですが、結局取り巻きが悪いと思った通りの治世ができないのです。一番切歯扼腕されていたのは昭和天皇だったと思います。

また、戦争も深まったというか、既に敗色濃厚となった時期である、1943年9月30日に至って、絶対防衛圏という地図を出してきている。即ち、ビルマスマトラ、ジャワ、ティモールソロモン諸島、トラック等、グアム島サイパン島硫黄島を結ぶ線で、この域内は何があっても絶対に死守しなければいけないというものであります。読者の皆様もあきれられるのではないでしょうか。これは開戦の初期に作成されるべきものでしょう。無計画な戦争を仕掛けて敗色濃厚となった時点でこのようなものを出しても最早守りきれるものではありません。戦争のはっきりした目的と、それを達成する方策といった戦略を欠いた闇雲な戦闘でありました。繰り返しになりますが、太平洋戦争なるものは本来半年で、即ちミッドウェー海戦の時点で実質上終了していました。これを引き伸ばしてしまったのは東条を初めとする戦時内閣や所謂大本営その他の罪であります。日本の国民全部に対する罪なのです。

例えばの話兵力についても開戦時と負け戦の続いていた1943年9月との比較で、装備が心もとなくなる中で、どうして人数だけがこれだけも増えているのでしょう。

開戦時/1943年9月 (単位万人)
陸 227/360
海 31 /70
計 258/430